年間10億円の被害!不正PPCアフィリエイトというヤリ得な犯罪

不正PPCアフィリエイトの被害額は、おそらく年間10億円以上だ。アフィリエイト業界には、小さくない割合で、不正行為が存在している。その状況を解説する。

不正PPCアフィリエイトの被害額

不正PPCアフィリエイトの被害額は、少なくとも年間10億円以上だ。これは、当システム「ストリクス」で検知した情報をもとに、仮定を重ねて算出した数字だ。まずその算定根拠を説明する。

不正PPCアフィリエイトによる被害額の算定根拠

根拠は以下の通り。事実・仮定・算定式を分けて記述する。

  • 事実
    当システム「ストリクス」では、2017年01月01日~2017年6月5日の156日間で、不正PPCアフィリエイトサイトを以下の通り検出した。
    • 検出不正サイトドメインは760種類 (A)
  • 仮定
    • 上記760種類のドメインは、全て不正PPCアフィリエイトサイトである
    • 不正PPCアフィリエイター1人あたりの保有ドメイン数は1個(B)
    • 不正PPCアフィリエイター1人あたりの年間不正利益は30万円(C)
    • 不正PPCアフィリエイターは利益率30%(つまり原価率70%)でリスティング広告枠を買っている(D)
    • ASP(アフィリエイトサービスプロバイダー)は、広告主の支払額の30%を手数料として受け取る。アフィリエイターに支払われる報酬は残りの70%。(E)
  • 算定式
    • A・Bから、ストリクスで見つけた不正PPCアフィリエイターは
      760種類のドメイン / (1種類のドメイン/1人) = 760人(F)
    • Cで記述した年間利益を実現するために不正PPCアフィリエイターが獲得する必要があるアフィリエイト報酬は、D・Eから、
      30万円 / 30% = 100万円(G)
    • F・Gから、不正PPCアフィリエイターに支払われてしまったアフィリエイト報酬は、
      100万円 * 760人 = 年間7.6億円(H)
    • Eから、ASPが受け取っている手数料は
      アフィリエイターへの支払報酬年間7.6億円 * ( 30% / 70%) = 年間3.26億円(I)
    • H・Iから、広告主の被害額は、
      年間7.6億円 + 年間3.26億円 = 年間10.86億円

以上から、不正PPCアフィリエイトによる被害額は、広告主の支払いベースで 年間10.86億円 と算定した。

アフィリエイト業界の10億円は「中規模ASP1社の年間利益額」

年間10億円というのはどういうインパクトの金額なのだろう。アフィリエイト業界全体の中での10億円という金額は、相対的にどれくらいの量で、どのくらいの深刻性を感じれば良い額なのか、よくわからないと思う。以下に金額観の参考になる数値を示す。

中堅ASPの1年分の利益額と同規模

ほぼアフィリエイト専業と言える上場企業がいくつかある。それらの企業の売上額・利益額は、上場維持のために定められた会計基準に基づいて正確に公開されている。不正報酬のインパクトを理解する上で良い指標になるだろう。以下に示す。

最大手のファンコミュニケーションズから見ると、10億円の被害を受けてもまだ余裕があると言えるかもしれない。一方、上記3社のうち最小規模であるレントラックスにとっては、10億円という金額は甚大な影響のある数字と言えそうだ。中堅ASPの1年分の利益額、と表現すると妥当かもしれない。

なお、上場企業でアフィリエイト事業を手がけている企業は上記3社の他にもたくさんある。しかし、今回はアフィリエイト業界に対するインパクトを調べたかったので、アフィリエイト事業の売上比率が大きい3社のみを例示した。

アフィリエイト業界の不正比率は0.5%

アフィリエイト業界全体の市場規模に対する割合も見てみよう。アフィリエイト業界全体の経済規模は、矢野経済研究所のレポートによれば、2016年度で2006億円だった。今回このページで算定した10億円というのは、全体の約0.5% にあたる。

ちなみに、犯罪被害が大きい業界の比較対象として、リアル書店の万引被害額を挙げておく。一般的に、リアル書店は万引きという犯罪被害のインパクトを大きく受けている業態という認識があると思う。

日本出版インフラセンターが2008年に行った調査によると、リアル書店の万引き被害額は、売上額に対して1.41%だそうだ。
※出典:日本出版インフラセンター 書店万引き調査等結果概要 10ページ目(2008年1月~2月調査)
書店の1.41%と比べると、上記で算定したアフィリエイト業界の不正比率0.5%というのは小さい。しかし、これはストリクスで検出した不正サイトのみを対象として算定した数値なので、実態はもっと大きい被害が出ていると思われる。

不正PPCアフィリエイトの概略

次に、不正PPCアフィリエイトの概略を説明する。

通常、アフィリエイターは、有益なコンテンツを作成し、それを検索エンジンに評価してもらうことで集客する。一方、Yahoo・Googleに広告出稿して集客を行い、コンバージョンを発生させ、報酬を得る という手段もある。PPCアフィリエイトという手法である。

しかし、アフィリエイト報酬を得るために Yahoo・Googleへの広告出稿を行う行為は、アフィリエイターと広告主の契約内容の文面に禁止と明記されている ことがほとんどである。その禁止行為を行って報酬を得ているアフィリエイターが存在するということだ。

不正リスティング

不正PPCアフィリエイトサイトの例

不正PPCアフィリエイトサイトの例を示す。このように、公式サイトのキャプチャ画像を貼っただけのサイト構成であることが多い。
不正PPCアフィリエイトサイトの例

なぜこれが禁止行為なのか、その意図がよくわからない人がほとんどだと思う。次の章で、PPCアフィリエイトのデメリットを説明しよう。

PPCアフィリエイトのデメリット

ほとんどの場合、PPCアフィリエイトは禁止されている。広告主側としてはデメリットばかりだからだ。具体的には、下記のようなものがある。

  1. 無用なアフィリエイト報酬が発生する
  2. 有益なコンテンツが作成されなくなる
  3. リスティング広告の費用が高騰する

このデメリットが産まれてしまう仕組みについては、企業全体の広告戦略と「AISASモデル」を理解すると納得できる思う。以下で説明する。

企業全体の広告予算 – アフィリエイトは数ある広告戦略のひとつ

企業側の視点に立つと、アフィリエイトは、多数ある広告戦略のひとつに過ぎない。
予算が許すなら、雑誌広告やテレビCMを打つことが最良の選択肢になるかもしれない。新聞のチラシを撒いたり、ポケットティッシュを配ったりすることが最高の費用対効果になることもあるだろう。広告主企業は、限られた予算の中で、様々な広告手段から、どれを選択してそれぞれにいくらの予算を投下するか、常に悩みながら戦略を練っている。
まず、企業側の予算を決めるプロセスを考えてみよう。それには、 「AISASモデル」 の理解が必須だ。最初に、それを説明しよう。

AISASモデルとは?

AISASモデルとは、インターネット普及後の消費者行動についての論説である。消費者の行動を5つのフェーズに分け、それぞれの行動の頭文字を取ってAISASと名付けられている。下記の通りだ。
説明の中に、例として、「CaSy」を(勝手に)取り上げさせて頂く。それぞれのフェーズで、消費者の心がどう動いているのか、イメージを記述する。

  1. Attention(認知)
    「CaSy?名前は知ってるね。」
    この段階の消費者は、商品・サービスの名前は知っているが、それが自分の生活に関係すると思っていない。
  2. Interest(興味)
    「CaSyって、どんなサービスなんだろう?」
    この段階の消費者は、商品・サービスに興味を持ち、使うかどうか判断するために情報収集する。
  3. Search(検索)
    「CaSy、良さそうだ。『CaSy』で検索してみよう!」
    この段階の消費者は、この商品・サービスを使うことをほとんど決めている。
  4. Action(行動・コンバージョン)
    「CaSyに申し込んだ!」
    この段階の消費者は、実際にこの商品・サービスを使う。    
  5. Share(シェア)
    「CaSy、良かったよ!」(とtwitterでツイート)
    この段階の消費者は、商品・サービス利用後、SNS等へ書き込む。

現代の消費行動はこのようにフェーズ分けされて理解されている。広告主側は、それぞれのフェーズに狙いを定めて様々な広告戦略を打つ。

広告主がアフィリエイターに求める役割

広告主がアフィリエイターに求める役割は、AISASモデルの 認知・興味の段階にいる人をコンバージョンさせること だ。各企業により戦略は様々だが、そういう位置付けの場合がほとんどである。さっきのAISASを再掲しつつ追記する。

  1. Attention(認知)
    「CaSy?名前は知ってるね。」
    この段階の消費者は、商品・サービスの名前は知っているが、それが自分の生活に関係すると思っていない。
    ※アフィリエイターにはここの人をコンバージョンさせてほしい
  2. Interest(興味)
    「CaSyって、どんなサービスなんだろう?」
    この段階の消費者は、商品・サービスに興味を持ち、使うかどうか判断するために情報収集する。
    ※アフィリエイターにはここの人をコンバージョンさせてほしい
  3. Search(検索)
    「CaSy、良さそうだ。『CaSy』で検索してみよう!」
    この段階の消費者は、この商品・サービスを使うことをほとんど決めている。
    ※このフェーズの人は、他の広告で既に気持ちを引き上げられている
  4. Action(行動・コンバージョン)
    「CaSyに申し込んだ!」
    この段階の消費者は、実際にこの商品・サービスを使う。    
  5. Share(シェア)
    「CaSy、良かったよ!」(とtwitterでツイート)
    この段階の消費者は、商品・サービス利用後、SNS等へ書き込む。

商品やサービスの名前自体を検索キーワードにして検索をかける人は、そのサービスに、既に強い興味を持っている人だ。だから広告主から見ると、そういう検索キーワードで検索をかけた人のコンバージョンに対して、わざわざアフィリエイト報酬を支払う必要性は薄い。

消費者が商品名で検索をかける状況として、「アフィリエイト以外の広告手段で興味を持った場合」と、「(通常の)アフィリエイトサイトで興味を持った場合」の2つに分け、以下に説明する。

アフィリエイト以外の広告手段で興味を持った場合

まず、アフィリエイト以外の広告手段が効いて、消費者が商品に興味を持った場合。たとえば、雑誌広告を見てそのサービスを申し込むになり、パソコンでそのサービス名を検索した、という状況だ。
雑誌広告を見て申し込み意欲が高まって検索

この場合、消費者は、雑誌広告で十分に購入意欲が高まっている。そのため、事業者側としては、それ以上のコストをかけたくない。

しかし、PPCアフィリエイトをOKにしてしまうと、既に購入意欲が高まっている消費者の申込みについても、アフィリエイターへ報酬を支払う必要が、一定割合で出てしまう。
アフィリエイトサイトと公式サイトが広告枠で競合

多くの場合、企業側は、PPCアフィリエイトを禁止した上でアフィリエイト報酬に必要な金額を予測し、それぞれの媒体に使う予算を確保する。だから、アフィリエイトサイトにリスティング広告を出稿されてしまうと、 想定していないアフィリエイト報酬の支払いが発生してしまうわけだ。これは、 無用なアフィリエイト報酬 である。企業側の理屈としては、これを避けたいと考えるのは当然だ。

(通常の)アフィリエイトサイトで興味を持った場合

通常のアフィリエイトサイトで興味を持った場合。いわゆる普通のアフィリエイトブログとかで興味を持った場合だ。下記にイメージを書いた。体験レポートが書いてあると思って頂きたい。
通常のアフィリエイトサイト

このブログを読んでCaSyに興味を持ったが、その時は申し込まず、翌日に「やっぱり申し込んでみよう」と考えたとしよう。

アフィリエイトサイトを読んで翌日に検索して申し込み

検索結果画面のイメージはこちら。
アフィリエイトサイトを読んで翌日に検索して申し込み2

この時、この申し込みが発生した主な要因は、上記の「ぷりちゃんのなんでもブログ」であることは明らかだ。しかし、検索結果画面にPPCアフィリエイトサイトが出稿表示され、そこ経由で申し込まれた場合は、「ぷりちゃんのなんでもブログ」に報酬は発生しない。アフィリエイト報酬は、このPPCアフィリエイトサイトに支払われる。それぞれのウェブサイトの貢献度と、報酬の支払いが乖離する

そうなると、上記の「ぷりちゃんのなんでもブログ」から見ると、本来得られたはずの収入が得られない。いつかはCaSyについてのコンテンツを作るのをやめてしまう。ぷりちゃんの立場としては、「有益なコンテンツを作っているつもりだけど、CaSyのアフィリエイトは思うように稼げない。他の広告主のコンテンツを作ろう。」と考えるわけだ。

そうなると、CaSyに関する 有益なコンテンツが作成されなくなる 。その結果、PPCのペラサイトばかりになり、一般顧客がCaSyについての有益な情報にたどり着ける確率が下がり、申込数は減っていく。

リスティング広告費用の高騰

また、広告主側は、自分の商品名をキーワードとしてリスティング広告を出稿することが多い。一方、PPCアフィリエイトを許可すると、商品名で出稿するアフィリエイターが出現する。そうなると、商品名の リスティング広告の費用が高騰する 。広告主から見ると、販売促進のために導入したアフィリエイトが原因で、他の広告戦略のコストが増えてしまうわけだ。

PPCアフィリエイトのメリット

デメリットばかりを書いてきたが、PPCアフィリエイトにも、広告主にとってメリットとなる部分は存在する。リスティング広告枠が、自社サイトへの導線で埋まることだ。

PPCアフィリエイトのメリット

リスティング広告枠は、それぞれの検索に対して10~15枠程度存在する。PPCアフィリエイトを許可すると、それらのほとんどすべての枠を、自社へ繋がるサイトで埋めることができる。多数のPPCアフィリエイターが競って広告出稿するからだ。広告枠から飛んだ先のサイトはペラサイトばかりではあるが、自社サイトへ誘導してくれるサイトで リスティング広告枠を埋めることができる 。これは明らかにメリットだ。そのメリットを重視するのであれば、PPCアフィリエイトを許可することも広告戦略としてあり得る。

ただその場合、その広告枠から飛んだ先のアフィリエイトサイトは ペラサイトばかりになる ので、ブランドイメージには良い影響を与えないと思われる。広告主側としては、そのデメリットも加味した上で、PPCアフィリエイトを許可するかどうか判断することになる。

PPCアフィリエイトのデメリットは大きい

ここまで書いた通り、広告主にとって、PPCアフィリエイトは主に下記3つのデメリットがある。そのため、禁止されることがほとんどなのだ。

  1. 無用なアフィリエイト報酬が発生する
  2. 有益なコンテンツが作成されなくなる
  3. リスティング広告の費用が高騰する

他の関係者から見たPPCアフィリエイト

前項では広告主側の立場を中心にPPCアフィリエイトのデメリットを記述したが、ASP・検索エンジンから見たPPCアフィリエイトについても以下に示す。

ASPにとってのPPCアフィリエイトの効果

ASP(アフィリエイトサービスプロバイダー)にとっては、PPCアフィリエイトは、短期的利益を増やす効果と、長期的利益を減らす効果があると思われる。

ASPのビジネスモデル(おさらい)

まず、ASPのビジネスモデルをおさらいしよう。別記事 アフィリエイトの基礎知識に載せた図を転載する。
ASPの取り分

ASPは、広告主とアフィリエイターをマッチングする。そしてアフィリエイターのサイトを経由してコンバージョンが発生すると、広告主からASPに報酬が支払われ、そのうち概ね7割がアフィリエイターの取り分になり、残り3割がASPの売上になる。

短期的にはメリット

上記のお金の流れは、アフィリエイトの手法が何であっても基本的に同じである。通常のコンテンツ作成をしているアフィリエイターでも、PPCアフィリエイトでも、ASPの取り分は同じ3割である。

一方、コンバージョン発生の数で言うと、通常のウェブサイト運営でのアフィリエイトよりも、PPCアフィリエイトの方がボリュームが大きい傾向がある。つまり、PPCアフィリエイトを許可したほうが、コンバージョン発生数は短期的には増え、ASPの取り分の金額も、コンバージョン発生数に比例して多くなる。つまり、 PPCアフィリエイトはASPの短期的利益を増やす

長期的にはデメリット

しかし、前述の通り、PPCアフィリエイトが許可されていると、通常のアフィリエイターの数が長期的には減っていく。ASPにPPCアフィリエイトを行うアフィリエイターのみが残ってしまうと、広告主側から見れば、コンテンツ作成能力のないアフィリエイターばかりのASPだということになる。それだと広告主側から見るとメリットが希薄なため、そのASPは 長期的には広告主から選択されなくなる。広告主がいなくなれば、ASPは商売ができない。つまり、 PPCアフィリエイトはASPの長期的利益を減らす

もちろん、前述の「リスティング広告枠を埋める」という意図であれば、そういったASPにも存在価値はある。しかし、リスティング広告の運営を事業として行っている企業は多数あるので、わざわざ管理の大変なアフィリエイトを使う必要性は薄い。

以上のように、PPCアフィリエイトは、ASPにとっては、短期的利益を増やし、長期的利益を減らす効果がある。

検索エンジンにとってのPPCアフィリエイトの効果

次に、検索エンジンにとってのPPCアフィリエイトの効果を記述する。結論としては、ASPと同様に、短期的利益を増やす効果と、長期的利益を減らす効果があると思われる。

検索エンジンのビジネスモデル

Yahoo・Google・Bingなどの検索エンジンは、検索結果に広告を載せ、その広告がクリックされた際に、別途定められた単価の金額を出稿者からもらうことで利益を上げている。もちろん、それぞれの検索エンジン運営会社ごとに独自のさまざまな事業を持っているが、検索エンジン自体のビジネスモデルは、これが基本である。

短期的にはメリット

PPCアフィリエイトは、検索エンジン運営会社の短期的利益を増やす。その理由は、広告出稿者が増えることで、 クリック単価が上がる からだ。

PPCアフィリエイトが行われていない場合、アフィリエイト広告主の商品名や企業名に対してリスティング出稿するのは、主に自社と、商品の競合他社である。

一方、PPCアフィリエイトが行われている場合、上記に加えてPPCアフィリエイターもリスティング出稿する。その結果、検索キーワードへの入札単価が上がる。検索エンジンの売上は 入札単価 * クリック数 で決まるので、PPCアフィリエイトが行われていると、検索エンジンの短期的利益は増える と思われる。

長期的にはデメリット

PPCアフィリエイトは、検索エンジン運営会社の長期的利益を減らす。その理由は、 一般ユーザが広告をクリックする回数が減る からだ。

前述の通り、PPCアフィリエイトで作成されるサイトは、公式サイトをキャプチャして貼っただけのものであることがほとんどである。これにより、一般ユーザには以下のようなデメリットがある。

  1. 変なサイトを経由するので不安になる
    PPCアフィリエイターが出稿した広告をクリックした一般ユーザは、前述のような粗雑な作りのサイトに飛ばされることになる。そのため、 「なんだか変なサイトだったな・・・」と不安を抱く
  2. クリックが一回増える
    一般ユーザから見ると、公式サイトのリスティング広告をクリックすれば一発で公式サイトに飛べたはずなのに、PPCアフィリエイトサイトを経由すると、PPCアフィリエイトサイトの中のリンクをもう一度クリックして公式サイトに飛ぶことになる。つまり、 クリックが一回増える 。クリック一回分の面倒を負担することになる。

主に上記2点により、PPCアフィリエイトが行われていると、その検索エンジンは、ユーザから信頼されなくなる。その結果、広告のクリック率は減り、ユーザ数自体も減る。そのため、 PPCアフィリエイトが行われていると、検索エンジンの長期的利益は減る と思われる。

以上のように、PPCアフィリエイトは、検索エンジンにとっては、短期的利益を増やし、長期的利益を減らす効果があると思われる。

不正PPCアフィリエイトは犯罪である

不正PPCアフィリエイトは、刑法246条としての詐欺罪にあたると思われる。

刑法246条としての詐欺罪 構成要件

詐欺罪は下記4つの条件を満たした場合に適用される。この4つの条件を、不正PPCアフィリエイターは満たしていると思われる。犯罪の加害者は不正PPCアフィリエイター、被害者はアフィリエイト広告主である。

  1. 欺罔行為
    欺罔行為。騙す行動である。不正PPCアフィリエイトに関しては、不正アフィリエイターは、広告主と、PPCアフィリエイトを行わないことをASPサイト内の文書で同意している。不正PPCアフィリエイトを行うつもりでその同意を行っていれば、この欺罔行為にあたると思われる。
  2. 錯誤
    錯誤。騙される側が、事実と違う認識を与えられるという意味だ。不正PPCアフィリエイトに関しては、広告主が、不正PPCアフィリエイトサイトではない別のサイトを経由した成果が上がったと認識した点が錯誤にあたると思われる。
  3. 錯誤に基づく処分行為
    錯誤に基づく処分行為。騙された側が、事実と違う認識に基づき、お金を払うことを指す。不正PPCアフィリエイトに関しては、広告主が、不正PPCアフィリエイトサイトではない別のサイトを経由した成果が上がったと認識した上で、不正アフィリエイターに報酬を支払う点がこれにあたると思われる。
  4. 財物又は財産上の利益の移転
    財物又は財産上の利益の移転。騙された側が報酬を支払い、その報酬が相手に渡るということだ。不正PPCアフィリエイトに関しては、広告主が支払った報酬が、不正PPCアフィリエイターの銀行口座に入金される点がこれにあたると思われる。

以上のように、 不正PPCアフィリエイトは、おそらく刑法246条としての詐欺罪の構成要件を満たしている 。なお、私は法律の専門家ではなく、上記はネット上の情報を元に素人として考察したものである。個別具体的な相談は弁護士さんへお願いしたい。

不正PPCアフィリエイターが不正を認識していることの状況証拠

不正PPCアフィリエイターたちは、PPCアフィリエイトは不正であるという認識をしているのだろうか。自分が結んでいる契約内容を理解しておらず、それが不正だと知らずに行為に及んでいる可能性も、考えられなくはない。

しかし、その可能性はおそらくほぼ無い、と私は考えている。完全にゼロ、というわけではないだろうが、大多数は不正行為だと認識した上で行っているはずだ。その理由をいくつか挙げる。

「noindex」の記述・robots.txtでのブロック

当サービス「ストリクス」で検知したPPCアフィリエイトサイトのうち、多くのPPCアフィリエイトサイトのHTMLには下記の記述がなされている。
<meta name="robots" content="noindex">
これは、検索エンジンに対して「このサイトは検索エンジンの検索結果に載せないでくれ」と主張する記述である。通常のアフィリエイトサイトの場合、このような記述をする場合はほとんどない。
noindexの説明
PPCアフィリエイトでは、集客の、ほぼ100%をリスティング広告出稿でまかなう。そもそもコンテンツのないペラサイトなので、SEOで上位表示されることはありえないと言っていいだろう。
一方で、アフィリエイトサイト運営者がみずから「検索結果に載せないでくれ」と主張するメリットは存在しない。検索結果に下位であっても表示されるなら、流入数は極めて小さいとはいえ、それをわざわざ拒否する必要はない。
それなのに検索結果への表示を拒否する理由は、おそらく 広告主側のパトロールで見つかってしまうことを恐れている からだ。検索結果に載らなければ、広告主に自分の不正PPCアフィリエイトサイトが見つからずに済む。「自分がやっていることは不正行為だ」と認識しているからこそ、この記述をしているのだと思われる。
また、noindexではなく、robots.txtを使って検索エンジンをブロックする例もよくある。システム上、noindexとは別の手段ではあるが、PPCアフィリエイトに関しては、両者は同じような働きをする。

深夜夜間帯・休日の出稿

一般的に、検索エンジンへのリスティング広告は、深夜時間帯・休日に出稿が集中しているようだ。当システム「ストリクス」のデータを分析した結果を下記の表にまとめた。深夜時間帯・休日の検知確率が大きいことがわかる。
深夜夜間帯・休日の出稿
なぜ、わざわざ深夜・休日に出稿するのだろうか。これはおそらく、 広告主企業の営業時間帯を避けるため だ。
アフィリエイトについて熟知している広告主企業は、不正PPCアフィリエイトという手法があることを認識している。そのため、広告主企業は、自ら検索エンジンで検索をかけ、不正PPCアフィリエイトサイトが存在しないか日常的にチェックを行っている。不正を行う側もそれを予想し、広告主企業の営業時間帯を避け、チェックがかからない深夜・休日のみ出稿しているのだと思われる。
最初に書いた通り、これは状況証拠にすぎない。もしかしたら、深夜・休日のほうがコンバージョン率が高い傾向があり、より費用対効果を高めるためにそのような出稿をしているのかもしれない。リスティング出稿者の意図を読むことはできないので、これだけをもって故意性を断言することはできない。しかし、状況証拠の一つにはなるだろう。

大都市圏以外への出稿

不正PPCアフィリエイトは、大都市圏以外の地方へリスティング出稿する例が多い
当システム「ストリクス」では、地方での検索結果も検知対象としている。大都市圏か否かで分けて集計すると、検知確率は下記のようになる。なお、集計対象は2017年1月~2017年6月である。

区分 検知確率
大都市圏 5.75%
大都市圏以外 9.66%

地方での検知確率は、大都市圏の約7割増だ。大都市圏ではない地方への出稿が多いことが見て取れる。
一般的に、検索エンジンへのリスティング広告は、出稿する地方を指定できる。千葉県からの検索には出稿するけど、東京都内からの検索には出稿しない、というような設定ができるということだ。
前項で記述した通り、広告主企業は、自ら検索エンジンで検索をかけ、不正PPCアフィリエイトサイトのチェックを行っている。しかし、それぞれの企業のオフィスがどこに存在するか、は、誰でも簡単に知ることができる。つまり、 その企業のオフィスが存在する都道府県を避けて出稿 すれば、その企業内からのチェックでは、見つかることはほとんどない。
企業の本社は大都市圏にあることが多い。なので、不正PPCアフィリエイトでは、大都市圏を避けてリスティング出稿されることが多いようだ。

以上の3点から、不正PPCアフィリエイトのリスティング出稿の故意性は明らかであると私は考えている。

過去の立件例は存在しない

ここまで書いたように、不正PPCアフィリエイターは明確な故意性を持って不正を行っていると思われる。しかし、おそらく、 過去には、不正PPCアフィリエイトが刑事事件として立件された例はない
私は、当サービス「ストリクス」を運営して4年ほどになるが、そのような例は聞いたことがない。つまり、これまで、不正PPCアフィリエイターは「ヤリ得」であったということだ。
当サイトで検出した不正についても、その時点で未払いの報酬の支払いを止めるだけである。過去に支払った報酬がアフィリエイター・ASPから広告主へ返還されたことは、おそらくない。
しかし、事態がこのまま推移するとも思えない。被害額も大きいので、いずれは誰かが刑事罰を受け、過去の不正で得た報酬の返還まで踏み込むことになるだろう。その際には、是非、広告主側から出す証拠の一部として当サービス「ストリクス」のデータを使って頂きたい。

不正PPCアフィリエイトを、どこまでも追いかけます

当システム「ストリクス」は、もともと、不正PPCアフィリエイトに困っている広告主に対して、ボランティアで提供し始めたシステムである。現在は費用を頂いて運営しているが、未だ赤字のままだ。

もし商売にならなければ、全てのソースコードをGPLで公開するつもりでいる。私が死んだ場合もGPL公開する。そういうスタンスで運営している。その意味では、ストリクスの運営が止まることは、不正PPCアフィリエイトサイトが存在する限り、永遠にない。

不正PPCアフィリエイトに手を染めている方々へ

不正PPCアフィリエイトに手を染めている方々は、本当にこの犯罪を続ける価値があるのか、今一度考えて頂きたい。あなたがこれまで不正に得た報酬についてASP・広告主から返還を求められたら、貴方の人生は終わってしまうのではないだろうか?この行為が犯罪だと認定されれば、その返還債務は自己破産しても消滅しない。不正PPCアフィリエイトは、今すぐやめるべきだ。

不正PPCアフィリエイトに困っている広告主さんは、是非お問い合わせ頂きたい。

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